映画撮影で大口径単焦点レンズを多用し、
・ 65mm大型フィルム用カメラで撮影したワイドサイズ映像(いわゆる本物70mm方式)
の立体感と「気」の「濃さ」。
これを一度体験してしまうと、同じワイドサイズでも撮影&上映双方でアナモフィックレンズ(詳細注釈参照)を増設取付する
・ シネマスコープやパナビジョンの35mmフィルム映像
が平板なうえ、「気」や立体感が感じ物足りなくて仕方なかったのですが、なるほど納得しました。
アナモフィックレンズを付け足すコネクリが「気」を薄くしてたんでしょうね。(フィルム面積=解像度や諧調・明暗のレンジははどうなんやろ?)
※ 注釈)以下「アナモフィックレンズ」についてのマニア向け薀蓄
撮影カメラに増設し画像を縦に圧縮し記録する特殊レンズで劇映画に使用され現在も活躍中。
逆に上映する際、映写機には圧縮された映像を横に引き伸ばしを増設し映写する。
横に拡大するため映像の鮮明度は減衰し甘い映像になり、技巧や使用レンズにも制約が出る。
35mm4Pネガで撮影したものが
①シネマスコープやパナビジョン(高性能レンズ故こちらが主流)で拡大率2倍
35mm8Pビスタビジョンネガで撮影したものが
②テクニラマで拡大率1・5倍
作品リスト https://www.in70mm.com/library/process/technirama/index.htm
キューブリックの使用レンズ http://www.widescreenmuseum.com/widescreen/wingtr4.htm
65mm5Pネガで撮影したものが
③ウルトラパナビジョン70
作品リスト https://www.in70mm.com/library/process/ultra_panavision_70/index.htm
初期レンズ https://www.in70mm.com/news/2009/ultra_panavision/index.htm
で拡大率1.25倍である。
元祖は①で1953年にお披露目されたものですが、おおもとはフランス人の天文学者アンリ・クレティアン(リッチー・クレチアン式望遠鏡の発明者)が第一次世界大戦のとき、仏軍の戦車の狭い車内から広範囲に外の状況を目視確認し得るために開発したものです。
http://www.widescreenmuseum.com/widescreen/lobby.htm
70mm映画やフィルムIMAXのゾクゾクする臨場感と立体感。
あの35mmでは得られぬ興奮と快感は、ラージフィルムと単焦点大口径レンズだからこそ得られる「気」の濃さによるものだったのでしょうが、8Kも同様同等の「濃さ」と快感を感じるので、これからの展開が楽しみです。
一方、同じ作品で撮影がアナモフィックレンズ使用35mmスコープでも、上映用プリントがブローアップした70mm&フィルムIMAXバージョン(作品例 「未知との遭遇」「マトリックス2」)だと、結構「気」が濃くゾクゾク、ドキドキ感じられたのも、
まず
・映写でアナモフィックレンズのコネクリが介在しないこと
そして
・上映用フィルム面積の大きさ
・70mm映写機のレンズの大きさと光量の多さ(デジタルIMAXは2台同時映写で光量を稼いでます)
ゆえだったのかもです。
● 「35⇒70mmブローアップ作品リスト」
https://www.in70mm.com/library/blow_up/index.htm
映画のデジタル化が進んだここ2,30年、「薄く」感じられる映画が多かったのですが、映像クリエーターがこの素敵な事実に気づき再認識してくれれば、これからも素晴らしい作品が産み出されていくでしょうねw