過去作品のお話になって、また長文となって申し訳ないですが、桜庭一樹さんという小説家はご存知でしょうか?
2008年に直木賞を受賞していますが、元々はライトノベルやゲームのシナリオなどを書いていました。
私がこの作家の作品を最初に知ったのは「GOSICK」というライトノベルでです。
昨今のライトノベルは毎月余りにも大量の作品が刊行されているため、まずは手にとって貰えることがポイントとなり、そのためには表紙や挿絵が重要なのです。その点「GOSICK」の挿絵は完璧でした。
とても繊細で精緻なイラストで、今までこれだけの力量の人がどこに隠れていたんだと驚いて手に取った覚えがあります。そのイラストレーターの名前は「武田日向」さんです。
「GOSICK」でイラストを担当されたあと、「異国迷路のクロワーゼ」という漫画の連載が始まり、イラストの精緻な描写のまま漫画が描かれることに再度驚嘆させられました。
桜庭一樹さんが「私の男」という作品で直木賞を受賞され、「GOSICK」の刊行が止まったのですが、今後は受賞作の方向に舵を切るためラノベは書かないのかと邪推してました。実は「異国迷路のクロワーゼ」も休載されてました。あとで知ったのですが「武田日向」さんがご病状だったためです。
その後「GOSICK」はイラスト無しで再発刊され、さらに別出版社で物語の舞台も移して続編が刊行されていますが、やはりイラストは無いままです。
つい先日AMAZONで目について購入した「合本 異国迷路のクロワーゼ」という、単行本未収録作品も載せた愛読版みたいな形態な本で、巻末に「武田日向」さんが昨年1月に亡くなられていたことが記載されていました。
そこから色々ググった結果、桜庭一樹さんが「GOSICK」は武田日向さんとタッグだったからこそ輝いた作品だと感じていたことが分かりました。たぶん病状回復までずっと待ってらしたのでしょうが、やむを得ずイラスト無しで続編を刊行されたのではないでしょうか。
「GOSICK」も「異国迷路のクロワーゼ」もどちらもアニメ化されてますので、興味をもたれた方はぜひご視聴ください。